発酵博士 小泉武夫先生に聞いた!日本列島おもしろ発酵学発酵博士 小泉武夫先生に聞いた!日本列島おもしろ発酵学

●地域ごとに〝顔〟がある種類豊富な日本の発酵食品 ●地域ごとに〝顔〟がある種類豊富な日本の発酵食品

列島が南北に長く、山があり海に囲まれた日本は、地域によって気候風土が異なります。産物や地域で暮らす人々の好みもさまざま。発酵食品はそんな地域特性に影響を受ける食べ物です。
その最たるものが味噌。味噌の材料は大豆と塩ですが、それに米麹を加えた米味噌、麦麹を加えた麦味噌、大豆の麹を加えた豆味噌があり、さらに色の違いによって白味噌や赤味噌などに分かれます。
東北地方の津軽味噌や仙台味噌は塩分が多めです。これは東北の人たちが塩辛さを好むから。反対に京都は色も味も薄い西京味噌が有名です。
名古屋は味も色も濃い豆の赤味噌ですが、豆の赤味噌は名古屋周辺にしかないといわれています。その理由は徳川家康が囲い込んで外に出さなかったからとの説が。豆味噌は牛肉に匹敵するたんぱく質を含むため、武士のスタミナ源に最適だったからです。

〝海なし県〟に鯖の発酵食品がある!? 〝海なし県〟に鯖の発酵食品がある!?

味噌と同様に漬物も地域色が濃い発酵食品です。日本にはざっと3000種類もの漬物があり、大根だけでも秋田のいぶりがっこ、東北や甲信越の味噌漬け、東京のべったら漬け、奈良の奈良漬け、鹿児島のつぼ漬けなど80種類ほども存在します。
漬物だけでなく、各地で取れる魚を使った発酵食品も豊富です。北海道には鮭のめふん、八丈島にはトビウオやムロアジのくさや、高知には鰹の酒盗といった珍味があります。滋賀には海がありませんが、鯖のなれずしが有名です。これは、その昔、若狭湾で取れた鯖を京都に運ぶときに滋賀県を通ったからだとか。 ほかにも各地にユニークな発酵食品がたくさんありますが、ここまで多くの発酵食品を楽しめる国は、世界広しといえど日本だけ。日本は、豊かな食文化を誇る国なのです。

日本が豊富な発酵食品を生み出せる理由

其の1

微生物が好む
多湿の気候

発酵には細菌や酵母菌、カビなどの微生物が不可欠ですが、これらは湿度の高い環境を好みます。多湿の日本は、微生物に最適な環境です。

其の1

塩を生む海と
火山がある

味噌や醤油、漬物などの発酵食品には塩も欠かせません。塩は海や火山から取れます。火山国で周りを海に囲まれた日本は、塩に恵まれています。

其の1

発酵させる
食材が豊か

発酵食品の材料となる野菜や穀物、魚も、日本ではさまざまなものがそろいます。たとえば漬け床だけでも、ぬか、酒粕、醤油、酢、味噌など豊富。これほど組み合わせがいくつもある国はほかにありません。

小泉武夫先生

小泉武夫先生

こいずみ・たけお/農学博士。専攻は醸造学・発酵学・食文化論。1943年、福島県生まれ。生家は酒造家。東京農業大学名誉教授ほか、全国の7大学で客員教授を務める。国や各地の自治体など、行政機関での食に関するアドバイザーを多数兼任。食に関する著作は170冊以上。小説の執筆、テレビ出演など多方面で活躍中。

『小泉武夫の味覚極楽舌ったけ』『小泉武夫の味覚極楽舌ったけ』

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